移住体験日記 9/4-9/30

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2020年9月_東京から

2020年9月4日(金) 曇りのち雨 1日目

今日から27日間の「ちょっと暮らし体験」が始まる。ふたりとも体調は万全だけれど、慎重を期して道内で待機。新型コロナウイルスの自主検査で陰性を確認して参加した。午後、陸別町役場に到着。オリエンテーションを受けた後、徒歩1分の移住促進モデル住宅へ。陸別産のカラマツ材を使ったこの住宅は、高気密高断熱仕様で、寒暖差70℃の同町でもストーブひとつ(もちろんエアコンも不要)で1年中快適に過ごせるそう。荷物を運び終えて窓を見ると、一匹の猫がこちらを見つめていた。陸別町で出会った初めての隣人!?
2020年9月5日(土)曇時々晴 2日目

少し蒸し暑い天気。Aコープ、道の駅、駅前広場を散策し、はた食堂で昼食。田舎風もりそば旨し。小さいが清潔感のある街並み、とても気持ちがいい。もう一周して、スマイルみどり屋でみどりの園の極上しいたけ、道の駅でりくべつミルクのおあずけプリン、Aコープで食品を購入。Aコープはまあまあの品揃えでひと安心。夕方、ふれあいの湯。明日はチミケップ湖へ。湖畔でプリンを食べよう。
2020年9月6日(日)晴 3日目

チミケップ湖でデイキャンプ。北海道のなかでも美しい場所に、町からわずか30分で到着。この日、気温は32℃に達したが、木陰には心地よい風が吹いていた。湖ではカヌー学習会が行われていて、輝く湖面に子供たちが次々に飛び込み歓声を上げている。メスティンで山めし。夕方、コーヒーを入れてホテルで借りたカヌーを漕いだ。夜空には満点の星!
2020年9月7日(月)曇時々晴 4日目

ちょっと疲れ気味で朝寝坊。外に出ると少々蒸しっとするが、断熱効果で家の中は涼しい。テレワークの妻をおいて、ぷらっと広場のK’Sキッチンで味噌ラーメンの昼食。帰宅して昼寝、怠け者の午後を満喫。夕方、ふたりでサーキット場まで歩いてみる。ラリー北海道の幟を見つけるが、今年は無観客開催とのこと、残念。野の花を摘んで帰り卓上に飾る。
2020年9月8日(火)曇時々晴 5日目

今日も汽笛が誇らしげに鳴っている。ふるさと銀河線の車両を自分で運転できるなんて素敵すぎる。モデル住宅のWi-Fiは高速で、ZoomもNetflixもストレスフリー。他のエリアでも同様の環境を得られるか確認したい。午後、雲が切れたので、車で40分の鹿の子沢へ。往路、雨雲に追いつかれてハイキングは断念。置戸町の勝山温泉ゆぅゆに寄って帰宅。この施設の前には、かっこいいシロハヤブサのワイヤーアートがある。
2020年9月9日(水)晴 6日目

夏を思わせる青空と気温。昼前、阿寒湖方面へ車を走らせる。頂に白煙を纏った雌阿寒岳と、堂々とした阿寒富士が素晴らしい。阿寒湖の自然探勝路を散策、芝生広場で昼食、観光協会で聞いた白湯山へ。スキー場の斜面を登り、整備された登山道を50分ほど、展望台から見る阿寒湖の全景と雄阿寒岳の山容が見事。陸別への帰途、峠越えのダート道で鹿に衝突しそうになり焦る。以後、立続けに鹿に遭遇。夕方の道はくれぐれも注意が必要。
2020年9月10日(木)雨 7日目

ゴミは朝8時までに指定場所へ。分別は細かいけれど、収集日が多く保管は困らない。午後、公民館に出掛けた。視聴覚室ではゴージャスなリクライニングチェアでCDを、カプセル型のパーソナルブースでDVDを視聴できる。DVDは『パラサイト』など最新映画も揃っていて、館員が「観ていきませんか」と声を掛けてくれる。図書室の資料は滞在者も貸し出しOK。資料検索は懐かしの図書カード。自力で調べれば他館から取り寄せもできるけれど、時間を要するとのこと。世界中の図書館図書室がオンラインで結ばれ、どの資料にも時差なくアクセスできるようになったら、住む場所はもっと自由になるのに。
2020年9月11日(金)曇のち雨 8日目

今日は買い物DAY。霧の高速を北見まで45分ほど、早い。おまけに無料。まず向かったのは、日替わりで出店する街角のキッチンカー。酪農学園大学生が起業した可愛いカフェのバブルワッフル、ミルクラウンのソフトクリーム。食べ過ぎた。陸別町にはカフェやパン、スイーツなどの店がないけれど、こんなキッチンカーでの提供があればと思う。カルディ、イオン、ダイソーと巡って雨の中帰途に。途中、ポンユこと北見温泉三光荘で日帰り入浴、ぬるっとした湯が気持ち良い。近いところにたくさん温泉があるのは最高。
2020年9月12日(土)曇 9日目

陸別小学校大運動会とラリー北海道が行われているが、縮小開催のため町は静か。今年は陸別町でも多くの企画が中止になったそう。イベントに燃える熱い町民と聞いていたので、とても残念だ。この町はコンパクトで、主要な生活施設が徒歩圏内。とても便利なのだが、町を歩いている人をあまり見かけない。住民は基本的に車移動なのだそう。午後、車で30分の訓子府町へ野菜の買出しに。無農薬野菜を栽培しているみつづか豆豆農園は、毎週土曜日にミニマーケットを開く。枝豆、トマト、人参、どれも本当に美味しい。三代目のけいこさんは銀河の森天文台の大ファンで、今日はもう閉めるからと、抱え切れないほどのおまけを頂いた。
2020年9月13日(日)曇 10日目

曇天が続く北海道。天気予報で唯一晴マークの網走に向かうことにした。往路、常呂町の山間にある食堂、桃源里 山乃家で昼食。有機栽培の全粒粉、平飼い卵、自家製ベーコンを使った力強い石窯ピザ。この辺りには、こだわりを持つ生産者がいるそう。放し飼いの山羊を眺めながら、農についてオーナーのお話を伺い、産みたての卵を分けて頂いた。能取岬は強い風。訪日外国人で賑わっていた昨夏とは異なり、寂しさも感じさせた。能取湖のサンゴ草は真っ赤に色づいていた。季節は冬に向かっている。
2020年9月14日(月)曇 11日目

網走で迎えた2日目の朝。焼きたてのパンを買ってオホーツク公園てんとらんどへ。知床連山を望む芝生の上で至福の朝食タイム。こんな素敵な場所があちこちにあるなんて、道民が本当に羨ましい。そして念願の北方民族博物館を訪れた。常設展示だったが、素晴らしい内容。北海道リモートミュージアム、スマートフォン音声ガイドなど、コロナ禍下における博物館の新たな試みも確認できた。午後、東京農大のエミュー生どら焼き(旨し)をお土産に網走を出発。常呂で寿司、北見でポン湯に入り帰宅。オホーツク海まで往復3時間。サクッと日帰りのつもりが、寄り道が多すぎて1泊2日になってしまった。
2020年9月15日(火)雨 12日目

終日リモートワーク。午後、小学校まで歩いてみた。授業中のようで生徒の姿は見当たらなかった。陸別小学校の生徒数は現在約100名。日建設計が手掛けた校舎はRC造と木造のハイブリッド構造で、地中熱利用の暖房システムを採用しているそう。日本一寒い町のイメージを覆す開放感のあるデザインで、隣接する保育園とも調和していた。陸別町は子育て支援がとても充実している。夕食はジューシーすぎるゲゼレ工房のハンバーグ! ソーセージも試したいのだが売り切れ中。陸別うぃる氏のキッチンカーにもまだ出会えていない。
2020年9月16日(水)雨 13日目

午前中、たまった仕事をかたづける。雨が止んだのを見計らい散歩に出、森田屋で昼食をとるが、またポツポツきたので止む無く帰る。このところ天候不順で、アクティブに動けないのが残念だ。町の郊外の自然をもっと楽しみたいのだが。4時過ぎ、少し空が明るくなったので銀河の森へ車で出かけた。美しい芝生の丘陵に天文台やコテージ、キャンプ場、周りを何処までも続く森林が広がる。山々に囲まれた陸別の街並が可愛い。天気の良い日の散策は気持ちが良さそうだ。町に戻り買い物、それほど寒くないのは今年だけだろうか。
2020年9月17日(木)雨のち晴 14日目

雨で出かけられないので少々ストレス。午後、役場の移住担当のT氏が来訪。快適に過ごしているが、なかなか町の方と話す場面がないと伝え、後日機会を作ってもらうこととなった。夕方、雨も上がったので史跡ユクエピラチャシを訪ねる。チャシとはアイヌの砦跡、道内でも最大級の跡だそうだ。町を取り巻く丘陵深林に浮かぶようにそれはある。静寂の中、しばし古を想う。その後、郊外の道を走り、ポントマムの丘をドライブ。雌阿寒、阿寒富士、雄阿寒の山々と夕日を楽しんだ。
2020年9月18日(金)雨 15日目

終日リモートワーク。銀河の森天文台の秋の観望会が始まったが、雨続きでなかなか行けない。低緯度オーロラの観測で知られるこの天文台は、一般向けのプログラムもユニーク。流星群観望会では屋上広場に畳を敷いて寝転んで流れ星を探し、ハロウィーン観望会では仮装してお化けにまつわる星を探すそう。午後、予約していたミルクを受け取りに道の駅へ。月1、2回、町内のみで販売されるりくべつ低温殺菌牛乳は、これまで味わったことのない澄んだ甘さ。陸別は酪農の町でもあるのに、道の駅のソフトクリームに個性がないのはもったいない。このミルク製で銀河に因んだプレゼンテーションだったら、スイーツファンの聖地になるのに。
2020年9月19日(土)晴時々曇 16日目

10日ぶりの太陽! 再びチミケップ湖へ。湖面は変わらず輝いていた。木陰で読書。暖かな今年、紅葉はまだ先のようだ。夜、銀河の森天文台へ。シルバーウィークで町外からも大勢の人が詰め掛けていた。職員による外惑星と秋の天体についての解説の後、115cmの反射望遠鏡りくりで火星を観る、はずだったが、雲がむくむく湧いてきて順番が来る前に隠れてしまった。10月6日、火星最接近の日、私たちは体験を終えている。その前にもう一度訪れたい。
2020年9月20日(日)晴時々曇 17日目

明日以降、天気は不安定の予報。4連休で混んでいるかとは思ったが、雌阿寒岳登山に。9時過ぎ雌阿寒温泉に到着すると案の定駐車場は満杯、なんとかスペースを見つける。樹林帯、ハイマツ帯と高度を上げるにつれて変わる景色を楽しみながら、火口直下のガレ場を必死に登って山頂到着。噴き上げる白煙、赤や緑の沼、何よりも日本離れしたダイナミックな景観に夢中でシャッターを切った。登るのは二度目なのだが。後ろ髪を引かれつつ下山、温泉で汗を流した。陸別町から登山口までは車で45分ほど。こうした自然に容易に触れることが出来るのは北海道の最大の魅力だろう。
2020年9月21日(月)晴のち雨 18日目

朝、移住担当のT氏から教わったふれあいの森へ。陸別駅から車で15分。町の水源地として使用されていた森林で、現在は3つの遊歩道が整備されている。最も短い1.8kmの森林体験コースを歩いてみた。針広混交の明るい森で、径はなめらかな苔に覆われている。鳥の声に包まれる幸せな時間。東京に帰る前に早起きして他の2コースも歩こう。昼食は素敵なご夫婦が営む訓子府町のエルミタージュ紀の里へ。ここの特製バジルソースのパスタは最高! 食事中、霰交じりの驟雨。雨が上がって外に出ると、駐車場がプールと化して車が水没していた。
2020年9月22日(火)晴のち曇 19日目

4連休最終日。朝、移住担当のT氏に紹介されコテージ村の民宿「夢舎」のオーナーK氏にお話を聞きに行く。K氏は30年以上前こちらに移り住んで、民宿を始めたそうだ。我々も完全移住は無理だが二拠点として北海道の暮らしができないものか、そんな気持ちを持っている。色々お話を伺ったうえ町内も案内してもらい、キノコや山葡萄狩りまでさせてもらった。恐縮至極。午後、少し仕事をして夕食のキノコ鍋をつくる。これは美味い。
2020年9月23日(水)曇のち雨 20日目

移住担当のT氏より、昨日K氏にご案内頂いた場所の詳細と町の助成制度の情報。いろいろな居住スタイルを検討できそうだ。滞在しているモデル住宅はフルキッチンなので、ふたりとも料理を楽しんでいる。森のキノコをパスタにしたり、山葡萄をジャムにしたり、どれもこれまでできなかったこと。りくべつミルクは料理にも◎。農家の方に頂いた無農薬のカボチャとこのミルクでつくった冷製カボチャスープは最高の出来! そんなヒュッゲな暮らしを実践中、スライサーで指をザックリ。張り切りすぎた。
2020年9月24日(木)晴れ 21日目

久々の良い天気、逃してはならじと早起きして大雪高原沼めぐりへ。紅葉の最盛期なので大雪湖から高原温泉まではシャトルバスを利用。10時前、ヒグマ講習を受け出発、例年に比べるとイマイチのようだが充分美しい。湖面に映る錦織と青空に浮かぶ大雪の山々が見事。帰りは温根湯温泉で疲れを癒した。層雲峡方面まで2時間弱、陸別のポジションはなかなか良い。
2020年9月25日(金)曇のち雨 22日目

小利別駅跡に行ってみた。先日お会いしたK氏が営んでいた小利別小学校舎の宿「夢舎」は、ここから徒歩3分のところにあったそう。駅前には廃屋も見られたが、駅舎は今も現役のように手入れされていた。棚に置かれた雑記帳に「今年も来ました」の文字。今日はW.M.ヴォリーズが宣教師夫妻のために設計したピアソン邸(北見・ピアソン記念館)も見学。「Three Oaks」の名の由来になった柏の木は1本になっていたが、1914年建築の邸宅は丁寧に復元されていた。帰り際、事務室から「子供たちのツリーの飾りつけ会はどうなるだろう」という声が聞こえた。クリスマス、このウイルスに光は見えているだろうか。
2020年9月26日(土)雨 23日目

予約しておいたふるさと銀河線の運転体験日がやってきた。運転する車両は松本零士も運転した「白メーテル」で氏のサイン入り。テンションが上がる。体験するのは初心者用のSコース。実際にマスコンハンドルとブレーキ弁ハンドルを操って15分間運転できる。コース上には信号が多く、停止位置にピタッと停めるのは難しい。係員のユーモア溢れる指導の下、なんとかフィニッシュ。最後は褒めてもらえて汽笛も鳴らせて満足! 運転体験、ぜひトライすべき。
2020年9月27日(日)雨 24日目

ちょっと暮らし体験もあと3日。片付けをした後、駅舎にある関寛斎資料館を訪れた。蘭医学を修め、奥羽出張病院頭取として戊辰戦争でも活躍した青年期。地位を捨て、地域医療に尽くした壮年期。そして72歳にして陸別の地に築こうとした理想郷。この町の人がなぜ寛斎を誇りに思うのかが伝わる展示だった。帰路、K’Sキッチンでカスタードのしばれ君焼きを購入。一番人気の十勝粒あんはまたまた売り切れ。陸別の人はフレンドリーで、私たちが体験中と聞くとみな手を止めて町情報を(時にディープすぎる情報も)レクチャーしてくれる。
2020年9月28日(月)晴 25日目

久々の太陽が嬉しい。少し歩こうと糠平温泉方面へ。1時間半弱で到着。糠平湖沿いの旧士幌線跡の自然歩道を歩き、湖越しにタウシュベツ橋梁を眺める。いたるところに「熊に注意」の看板がありちょっとビビるが、明るい混合林は気持ちがいい。温泉に入り、真新しい上士幌の道の駅に立ち寄り帰る。前も書いたが、陸別の地理的ポジションはとても良い。もっと行きたいところ訪ねたい場所は沢山あるが、あと1日しかない。
2020年9月29日(火)晴 26日目

滞在も残すは今日1日となってしまった。朝から片付けや掃除の退出準備。午後、あまりに天気がいいのでまたチミケップ湖へ。湖畔で昼寝を楽しみ帰ると、陸別町のすぐ手前で交通事故処理のため通行止め。津別回りで1時間半かけて帰る。やれやれ。最後にとんだアクシデントに遭遇したが、無事滞在を終えることができた。これも移住担当のT氏の様々なサジェッションのお陰です。また、私たちが考えている二拠点暮らしに踏み出すきっかけを与えてくれたK氏、ありがとうございました。
2020年9月30日(水)曇 27日目

あっという間の27日間! コロナ禍下のため、例年なら目白押しのイベントに参加したり、お勧めされた居酒屋や焼き肉パーティにお邪魔したりはできなかったけれど、立地や生活環境を確認することができた。何より様々な居住形態が可能だとわかった点が収穫だった。状況が落ち着いたら、冬期の暮らし体験もしてみたい。温く迎えてくださった陸別町のみなさま、ありがとうございました。
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